あ、

文学少女……



満員の車内でつり革につかまっていた俺の視界の隅に、

前に立つ人々を押しのけて立ち上がる制服姿が目に入った。



まだ、ここ学園の最寄り駅じゃないのに、なんで立つんだ?


不思議に思って見ていると、

背の低いばあさんが文学少女の立った席に座ったのが見えた。



ああ、席を譲ったのか……