「んんん……、あぁっ!」 私は慌てて顔を上げ、後ろを振り返った。 電車が入りつつあるホームの駅名を目で追う。 あぁ、よかった。 まだ、あと二駅ある。 寝過ごしちゃったかと思った。 私は膝の上の読みかけの文庫本と通学かばんを持ち直した。