二人がそれぞれの行動を開始して今日が三日目…。

エースとジャックは、新幹線や電車を乗り継ぎ、とある場所に向かっていた。山間を抜け、どんどん都心から離れて行き、たどり着いたのは自然情緒が残った、温泉街だった。

そんな二人が着いた頃には、日が落ちかけ、後数時間もしないうちに空に星が出そうな時間帯。温泉街なのに、駅に近いビジネスホテルにチェックインを済ませると、二人は夜の街を散策しだした。

「ここが一時期ネット上で騒がれていた温泉街か…なんとも活気に欠ける温泉街だな」

ジャックは町の中を見回しながら、そう口にした。確かにここの温泉街は、他の有名な温泉街に比べ、通行人の数は見劣りする様な印象を受ける。

「不景気だからねぇ…」

「エース…お前最近そればっかだな」

エースの言っている事は間違っていないのだが、何でもかんでも不景気のせいにするのもどうかと思う。

「でもこういう温泉街の様な娯楽施設は、景気に一番左右される場所だからね。でも、潤っている場所もここにはあるんだけどね…」

エースはそう言うと目の前にあるビルを指差した。そのビルは…

「普通のスナックビルに見えるが…ここがそんなに繁盛しているのか?」

エースが指差したのは、スナックの店が多く店を出している、ただのビルだ。

「まぁね。このビルの中にあるとある店は、大変繁盛しているんだよ…本業とは他の分野でね」

そう言うとエースはそのビルの中に入って行った。ジャックは釈然としない表情でエースの後に続き、ビルに入って行く…。