さて、様々なミステリを取り上げるにあたって、最初は何にしようか考えてみたのだが、ここはやはり、世界初のミステリ小説であるE・A・ポーの【モルグ街の殺人】を取り上げようと思う。

物語の舞台はパリ。

モルグ街と呼ばれる街で殺人事件が発生する。

被害者は資産家のレスパーネ夫人とその娘。

娘は絞殺された後、家の煙突の中へ逆さまに押し込まれ、レスパーネ夫人は首をほぼ引きちぎられた状態で庭に放置されていた。

どちらの死体も傷だらけで、非常に猟奇性の強い事件。

盗品はなく、しかも殺人のあった部屋は密室状態だった。

死体を発見した近所の住人と憲兵たちは事件発生当時、犯人のものと思われる鋭い金切り声を聞いていたが、その言葉はそれぞれスペイン語・イタリア語・フランス語・ドイツ語・英語・ロシア語に聞こえたと証言が食い違った。

やがて一人の容疑者が逮捕されるが、事件を新聞で読んだデュパンは疑問を感じ、独自に捜査を開始した。