「アリス!!アリスでてきなさい!!」
自分の名前を呼ぶ声がする。



お母さまの足が茂みの下から見える。


「出てこいっていわれて出てくる人なんていないわよー…っだ!」
黄色の頭を低くし、アリスは薔薇の茂みの下からそう呟いた。


そう毎日毎日お稽古なんてしたら疲れちゃう!

…まあ昨日もサボってしまったけれど。




せかせかした足音が遠ざかる。
やっと自分を捜す足が見えなくなったところで、あたしは伸びをした。

そして溜め息をつく。



「…なにしよう」







ああ、
世界は退屈だ。


朝起きてご飯を食べてお稽古お稽古お稽古……


んーっ!と頭を振る。




毎日同じことのくり返しでおかしくなりそう。