声がする。怒っているような、呆れたような。


自分を呼ぶ者なんているはずない。いるはずないのだが……いや、いた。自分でもまだよくわかってない、暁の中の少年ーー今だ名前も知らないが。


“ちょっといつまで寝てんの?!リオンと別れてからもう三日もここにいるじゃないっ”


……俺は別に、どこにも行きたくない


“反抗期めんどくさいな!ってか、そんなに行きたかったなら追えばいいよね?!”


……いやだ


リオンと別れてからこれの繰り返しだ。自分が悪いのはわかってる、でもまだーー追う勇気なんてない。


香草の寝床は心地いいし、ここで、蝶を眺めたりリオンから貰った本を読んだりしている。


もうここから出ていかなくてもいいような気さえしている。