わずかに上がった口角。
勝ち誇ったかのようなその笑顔。
それを見た靖杜はクスッと笑った。
「降参っ♪」
そしてあたしたちの前に来て、口を尖らせた。
「ずるいねぇ淨弥ぁ!椎榎ちゃんにあんな熱いキスだなんてぇ…。
まぁ、椎榎ちゃんの甘ぁ〜いボイス聞けたから…、まぁよしとしようっ!」
な、なに言ってんだっ!
恥ずかしくて頭が爆発しそうっ…!!
「俺の負けー!んじゃ、あとはお二人さん、仲良くねっ♪」
靖杜はウィンクしながらそう言って、鼻歌歌いながら校舎の方へ歩いていった。
………なんなんだろ。
………靖杜は、もしかして、
淨弥を妬かせるために、あたしをギュッと抱きしめたりしてたのかなぁ…?
「…こら。そんな目で靖杜のことを見るな」