裕と離婚して。
お腹の中の赤ちゃんは日に日に育っていって。
あたしは実家の自分の部屋にいた。

トントン
誰かがあたしの部屋のドアをノックする。

「どーぞ」
あたしがそう言うとそこには思いがけない人がいた。

「よう。久しぶり」
そう言うのはあたしの秘密を知っている陽の姿。

「なんで来たの?」
あたしは冷たく聞いた。
「せっかく来たのにそんな冷たくすんなよ・・・。」
「なに?優しくされたいわけ?」

裕と離婚してから、あたしは明るくすることがなかった。
表情もあまり変わらずいつも冷めた目をしていた。

「まあいーや。ところでさ、お前最近学校来てねぇじゃん。どうしたのかなーってさ。」
子供がいて行く馬鹿がどこにいんのよ。

「・・・できたから。」
「はあ?なに?」
「子供!できたから・・・!」

「・・・はあ!?子供!?だから実家にいるわけ?」
こいつ・・・。
いちいち聞いてきやがって。
「裕とは離婚した!だから実家にいんの。なんか文句あるわけ?」
「あ、いや・・・。なんでもないっす・・・。なんか実優強くなったな。」
強くなった・・・?
そんなこと言われたことない。
強くないんだよ。
弱いからこんな部屋にいることしかできないんだ。