柔らかな日差し。


外の空気はまだ冷たく、窓を開ければ部屋を鋭く掻き乱す。



私はこの屋敷に雇われ、執事としてただ一人のご令嬢にお仕えする傍ら、勉学の講師としても役を受けている。



一目会ったときから、気付いていた。

何か、他のご令嬢とは違うものを背負っている事を。


気取った風は全く見せない。

豪華な衣装も、絶品の料理も、煌めく宝石も

彼女の目には映らないらしい。


ただ彼女は、窓の外を眺めるばかり。