世界はモノクロだった。 僕の瞳が識別出来る色は、黒と赤。喧嘩の度に咲く、鮮やかな赤い色が僕は好きだ。 「…暑い。」 喧嘩に少しはしゃぎ過ぎた僕は、額から流れ出る汗を拭った。 見上げた空は、果てしなく続く黒。きっと澄んだ青なんだろうけど、僕の瞳には黒としか識別出来ない。 「…つまらないな。」 このモノクロの世界は、何もかもがつまらないよ。…ねぇ。僕に、鮮やかな色を見せてよ。 僕の呟きは、黒の空に呑み込まれて消えた。