夜更けに家へ帰るとおばあちゃんが縁側に座って待っていてくれました。
「ぼう、祭りはおもっしゃかったけの?」
「うん」
「ほらよかったの。腹が減ったやろ」
「うん、もうぺこぺこだ」
 蚊取り線香の紫煙、井戸水で冷やしたスイカの赤と無色透明なラムネ。おみやげに買った屋台の焼き饅頭の黒いあんこ、そしていつもの真っ白なおにぎり。おばあちゃんと二人で食べたから、どれもこれも素晴らしくうまかった。
 おばあちゃんは元気になった僕をいつまでも眺めています。
 久しぶりの人ごみに疲れた僕はおばあちゃんのひざ枕で知らぬ間に眠っていました。