ホテルのロビーで待つように
言われ、サロンで時間を潰す。

この辺りは遅くなると
治安が悪くなる。
日がくれる前に帰ると言った私を
送る、いらない…で
主張しあったのだが
言い出すと聞かない男…

「ダメだ。送る!!」

結局、ジェスに負けて
ここで待つように言われた
訳だが・・・


何かやることでもあるのか、
なかなか来なかったのだけど。




「おまたせ。行こう。」

相変わらず人目を引く男だ。
スマートに自分の車の助手席に
エスコートする。


「まだ、車置いてたんだ…」

以前、見かけた高級車に
まさか自分が乗るなんて
思わなかった…

「ああ。明日、車屋に
持っていくんだ。」

「そう・・・」

ジェスが運転する無言の車中

何だか、気だるい返事をしたまま
言葉を探した。

「放心状態じゃん。」

ジェスがイタズラな眼差しを
こちらに向けクツクツ笑う。

「疲れた?」

彼は問うてくる。

「うん。」

手短に答え、思い出さない様に
窓からの景色に集中する。

「感想は?」

ジェスの問いに、思わず
何を意味してるのかと問えば

「愛のあるセックス・・・
正しくは、愛のある男の
セックスってとこ?」

改めて聞かないでよ。

恥ずかしいじゃない。


無言で明言を避ける。