「…おい…なに泣いてンだよ、夢」






「だってぇ…」






放課後


場所は教室


窓辺から見えるグラウンドの風景を


あたし 佐々木 夢 ササキ ユメ と


ほんの1ヶ月前に付き合ったばかりの彼氏


楢橋 遼 ナラハシ リョウ がながめていた







「あのグラウンドにいる人ね、今ね




ボールが顔に当たっちゃったの」






「…それで?」





「い、痛そうだなって…」





「…帰るぞ」






楢橋くんはあたしをあきれたように見てから


あたしの分のかばんも持って


もう教室の扉の前まで来ていた