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淡いオレンジのライトはぼんやりと七体のマネキンを薄暗がりの中に晒していた。


陽一はそのうちの一体、黄色のマネキンの前に立ち額の銃痕を眺めている。


つい一時間前に出来たばかりの真新しい黒い銃痕。




チェシャ猫は黄色のマネキンを「ハズレ」と言った。


藍原と加えてもう一人、合わせて二つの命と引き換えで知ったその事柄は天秤に掛けた時果たして均等なのか。


そんな事は誰にもわからないだろう。


だから陽一は思案を続けている。


別に藍原の、それにもう一人の為と言うわけではない。


ただ、やられっぱなしと言うのがシャクだと言うのと、光二の言葉を借りるなら「犯人を見つけない」と脱出出来ないのだ。


クラスメートの死と引き換えにもらったヒントだ。


むしろ有効活用しなければ罰が当たるというもの。