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目の前で、幼なじみの頭が爆ぜた。


返り血が『私』の顔に掛かる。


ついさっきまで喋っていた相手が、目の前で撃たれて。


死んだ。


叫びを上げたい衝動に駆られた。慟哭にもにたほうこうを。


けど、その感情は全て嚥下した。


瞑目し、噛みちぎれんばかりに下唇を噛んで。


自分の感情を押し殺す。


叫ぶな。


泣くな。


喚くな。


……悪いのは私なんだから。


私は悲しんじゃダメだ。


目も、逸らすな。


茫洋と、壁すら巻き込み際限なく広がりを見せる闇の中。


陽一は目の前で頭から血を流し、形を変えて絶命していた。


『ゆうしょーおめでとーん♪』


不意に、あっけらかんと、まるで人を小馬鹿にしたような電子音声が耳に届いた。