数日後──

「!」

 いつものように空を見上げていた流浪の民たちが、少しざわついた。

「悪意が……失せていく」
「ドラゴンを倒したのか?」

 口々に言い合い、顔がほころんでいく。

「! 長老さま」
「うむ」

 どう変わったのか解らないジェイドがその様子を見ていた時、長老が横に来た。

「ドラゴンを倒したとか……皆が」

「大気に充満していた悪意が薄らいでいくのを、感じておるのじゃよ」

「では、本当に?」

 ジェイドの言葉に、長老は静かに頷いた。

「……」

 ベリルたちは無事だろうか。長老は、それが気がかりだった。