「……」

 西に顔を向ける。

「早く戻ってやりたいが……」

 そう、彼は流浪の民。名をライカ。32歳の未だに独身。

 ライカは器用な人間じゃない。恋愛と旅の両立なんて出来ないのだ。

 腰にはブロード・ソード。70~80cmほどの剣だ。拳を守る、独特の柄(つか)がある。

「ひとまず」

 ライカは重い腰をあげ、ハーピーの死体に軽く土を被せた。

 このまま野ざらしというのも可哀想だ。まあ、他のモンスターがかぎつけて食べに来るだろうが、そうして命は次に受け継がれる。

「お前のせいで馬も死んじまったし」

 ハーピーに襲われ、馬は驚きライカを振り落とした。

 彼は転がる事なく見事に降り立ったが、激しく動く馬にハーピーは狙いを定めてしまった。

「はぁ~……」

 ライカは再び溜息を吐き出すと、西に歩みを進めた。