色とりどりの光が織り成す、見事なパジェント。
それはうっとりするほど綺麗で、思わず頬を緩め、足取りを軽くした。
駅ビル前に飾られた見上げるほどに大きなクリスマスツリーが、光の中心で一層輝き、その存在を主張していた。
ハア、と白い息を吐き出しながら、私は腕を組んで歩く彼を見上げた。
「ね、来て良かったでしょ? 凄く綺麗」
はしゃいだ声でそう言っても、彼はただ、白い息を吐き出すだけ。ちっとも楽しそうな顔ではない。
「ねえってばぁ」
少し甘えた声を出してみても同じだった。彼は無表情のままだ。
いつからだったか。彼との間に、何となく冷たい溝が出来始めたのは。
何があったかなんて、私には分からない。ただ、傍にいるだけで安心していた時期は、いつの間にか遥か彼方へ逃げ去ってしまっていたのだ。
気付いた時にはもう、私の隣に安心を与えてくれる腕はなかった。
ただ、無言で私を突き放し、不安だけを与える存在になってしまっていた。
それでも確かに愛されていた私は、いつかきっと……いいえ、今、こうして並んで歩いている間にも、ほんの少し前にはあった温かい気持ちを思い出し、私を優しい目で見てくれると信じていた。
「ねえ、あっちの方も綺麗だよ。行ってみない?」
無表情の彼の心が、すでにここにはないことを知りつつ、私はそれに気付かないフリをした。
だって彼は。
また、私を愛してくれる。
それはうっとりするほど綺麗で、思わず頬を緩め、足取りを軽くした。
駅ビル前に飾られた見上げるほどに大きなクリスマスツリーが、光の中心で一層輝き、その存在を主張していた。
ハア、と白い息を吐き出しながら、私は腕を組んで歩く彼を見上げた。
「ね、来て良かったでしょ? 凄く綺麗」
はしゃいだ声でそう言っても、彼はただ、白い息を吐き出すだけ。ちっとも楽しそうな顔ではない。
「ねえってばぁ」
少し甘えた声を出してみても同じだった。彼は無表情のままだ。
いつからだったか。彼との間に、何となく冷たい溝が出来始めたのは。
何があったかなんて、私には分からない。ただ、傍にいるだけで安心していた時期は、いつの間にか遥か彼方へ逃げ去ってしまっていたのだ。
気付いた時にはもう、私の隣に安心を与えてくれる腕はなかった。
ただ、無言で私を突き放し、不安だけを与える存在になってしまっていた。
それでも確かに愛されていた私は、いつかきっと……いいえ、今、こうして並んで歩いている間にも、ほんの少し前にはあった温かい気持ちを思い出し、私を優しい目で見てくれると信じていた。
「ねえ、あっちの方も綺麗だよ。行ってみない?」
無表情の彼の心が、すでにここにはないことを知りつつ、私はそれに気付かないフリをした。
だって彼は。
また、私を愛してくれる。