遥か高くに果てしなく広がる空を見上げた。

その空に一つ、浮かぶ月は

無性に儚く、虚しく、美しいものだった。


月は、孤独だ。

果てしない空にぽつりと1人で浮かび、

日が昇ればその姿を隠してしまう。

孤独な月は私のよう。

月もいつか、

私のように滅びる時がくるのだろうか。



「瑠璃様、御就寝のお仕度を。」


「・・ああ」


瑠璃は瞳に月を映したまま

その場を去った。