静かな沈黙が響いた。

琥珀の目が瑠璃の目を捉えて離さない。



べったりと絡みつくものでもなく

するりと抜けてしまうものでもない。



目を逸らしたくない、ずっと捉われていたい。

不思議な感覚に襲われた。



「佐野琥珀」


千代の声が沈黙を破った。


「はい」


「もうあなたは久羅奈家に仕える者です。
分かりましたね。」


「ええ。」


しっかりとした声が応える。



「では、さっそく仕事を
覚えてもらわねばなりませんね。
瑠璃様、幸を呼んで参りますので
少々お待ち下さい。」



千代が部屋を出て行った。