♪リリリン……………

俺は玄関脇の電話を取った。

「〇〇か」

俺たちはたわいのない会話をした。


「あっ、〇〇が転校したの知ってる?」


(〇〇ってダーリンのことじゃないか)


「なんで知ってる?」

「俺、見たんだ、引越しの車に乗ってたんだ」

「そうか、切るぞ」


俺は玄関を飛び出した。

外は月明かりで明るかった。

俺は学校に向かって走り出した。

(ダーリン、なぜ言ってくれなかったんだ)

校舎裏の塀を乗り越えた。

校舎裏の壁にダーリンのラジカセが置いてあった。

俺はラジカセを持ってまた塀を越え、並木通りの公園まで行った。
俺はラジカセのスイッチを押し、ベンチに座った。

♪……………………

ラジカセから古い曲が流れた。

(ダーリン、好きだと言えなかった)

俺はテープが終わるまで聞いていた。