「ごめんっ!」


両手を合わせ、必死に謝る。

俺、いつも謝ってる気がする。

謝る理由?

彼女との約束を守れなかったから。

仕事がなかなか終わらなくて、結局会ったのは二日後。

プンプンどころか、すっかり落ち込んだ茉莉は、消えそうな声で聞いた。


「和巳は仕事と私、どっちが大切?」


どっかで聞いたことのある陳腐な質問を、真剣に聞いてくる。

茉莉が大切……そう言えば満足?

言うのは簡単。

でも、選べない。

茉莉と仕事は比べるわけにはいかない。

どっちが無くても俺じゃない。

どっちも大切なんだ。

だから、答えた。


「なんて答えてほしい?」


間違っていたのだろうか。