薄い紫のような煙が視界の邪魔をする。

何なんだよ、ここ。

先を歩いて見るも、煙が晴れる気配はない。

一体ここは何なんだ?

俺はどこにいる?

頭の中でブツクサと文句を言いながら歩いていた時だった。

「――あっ!」

やっと人影が見えた。

助かった!

人影に向かって駆け出そうとした時、鼻についた異臭に俺は足を止めた。

…何だ、この生臭い匂いは。

あまりの異臭に鼻が曲がりそうだ。

同時に煙が晴れて、人影もくっきりと現れた。

その瞬間、
「――ッ!?」

俺は声を失った。