翌日少し緊張しながら学校へ向かっていた。
冬から夏の制服に衣替えし、仁の後ろを離れて歩いた。
 「自分に向けられる視線はいくらでも耐えられるけど、だれかに迷惑をかけるのは嫌だ」いつだったか、仁が悲しそうな顔で言った言葉を思い出した。


「桜庭さん!!」


勢いよく肩を叩かれ振り返ると、満面の笑みが私を出迎えた。


「おはようございます!」


『繭乃くん、朝から元気だね』


その言葉には触れず、「放課後忘れず来てくださいね!! 待ってますから」と言い残し、私の返事を待たずに行ってしまった。
 竜巻に遭遇した気分だった。目線をあげると、仁の姿が無くなっていた。
 「待ってますから」そこだけ聞くと、告白されたみたい…
そう言えば柚樹に告白されたんだっけ……。