授業が終わり、机を片付けながら綾を待ってると、先生に話し掛けられている姿を見つけた。
その会話はすぐ終わったものの、綾が申し訳なさそうに近づいて来るのを見て、なんとなく理解した。


「葉瑠ごめんね?」


案の定、顔の前で両手を合わせ申し訳無さそうに謝る綾は、「あとでね?」と言い残し、足早に教室を出て行ってしまった。
 急にヒマになってしまい、教室を見渡すと、いつの間にか仁は消えていた。
頬杖をつき、視線を空席から窓に目を移しボーっと眺めていると、「あのぉ…」と肩を叩かれた。
何事かと振り向くと、そこには知らない男子が立っていた。


「あの、聞いてますか?」


『…どちら様ですか?』


栗色の髪に、くりりと丸い瞳。顔だけ見ると、女の子みたいだけど、短髪に学生服を見たところ、どうやら男子らしい。
女の子です!って言っても、分からないくらい可愛い容姿に、暫く見とれてしまった。


「あ…っと」


怪訝そうな顔で見てくる男子が、辺りを気にし始めた。