私は学校に行くと無口になる。

友達っぽい子がいない訳じゃない。

でも、やっぱり友達“っぽい”は友達ではなくて。

不良校に変化してしまった学校でさえも、周りに取り繕っていなければと思うと吐き気がした。

その中、ただ一人だけ。

その空気に飲まれず、逆に飲み込まれてしまいそうな人がいた。

私のクラスに一人だけ。

私語が飛び交う教室内にガラリと扉が開く。

そこから静かに、けれど悠然と構えて入ってくる人にクラスメートは口を閉じる。

「そこ、あたしの席。」

などと、喧嘩の途中の男子に平気で言ってのける人。