分からないから不安になって、いざ尋ねようとすれば不安が付き纏うけれども。



ソレらはすべて自分で勝手に生み出したモノだから、きちんと払拭しなきゃダメ。



何時でも私を優先して、一歩を踏み出す力をくれる修平を先ず信じなきゃ・・・




「さてと、帰ろうか?」


パチンと折りたたみ式の携帯を閉じると、こちらに爽やかな笑みを向けてくれた彼。




「しゅ、へい…」


「泣くのはあとで…、な?」


「っ、うん・・・」


胸ポケットへ携帯を収めた彼が、キュッと繋いだままの手を離して頭をヒト撫でした。




言葉の節々に隠れていたモノに胸が締まり、手の温もりがソレを緩めてくれるから。



その相対する感情のせいか零れ落ちそうな涙を、グッと堪えると笑って頷いたの。



本当は全てを分かっていて、それでも話すように促してくれていたのにね…――




大好きなアーティストの曲が流れている車内でも、無言状態が続いていたけれど。



どちらともなく話し掛けなかったのは、形式的なモノになるのが目に見えていたから。



車内で話す事は出来る…、だけれど目と目を合わせて会話をすべき問題であって。



時間に縛られるマンションまでの道のりでは、とても終えられないと思うもの…。




「はい、到着――」


「ありがとう」


ガチャリと音を立て開けられたレクサスのドアに、また一歩を踏み出せる気がした・・・