バンッ―…!


隣のスタジオの扉を開ける。

中にいた人達が、一斉にあたしを見た。



「柚莉っ…!」


一目散に、床に横たわる柚莉の元へ行く。



「柚莉っ…今、楽にしてあげるからねっ?」


握っていたマリナの天珠を、柚莉の手に握らせた。



瞬時に、天珠の放つ光が、柚莉の全身を包み込む。



柚莉の体を取り巻いていたまがまがしい妖気は消えていき、清涼な霊力が辺りに充満していった。




「柚莉…………?」


呼び掛けると…うっすらと目を開く。


「……杏………樹……」



土気色の肌に赤みが戻って来た。


酷く体力を消耗しているらしく、すぐに眠りにつく。



「もう………大丈夫………」


規則正しい寝息が聞こえて安心した。