及川さんから、離してもらい

もう一度、陸様を見た。



さっきよりはお顔が、マシになってる。





「よかったぁ……」


及川さんにバレないように、ため息をついた。







「あっ…危ないっ!」




誰かが叫び、その場にいる全員が後ろを振り返る。






ガシャン…!

大きな音を立てて……


見上げた瞬間、上から窓ガラスが落ちてきた。


「上だっ……!」

「にっ、にげろっ…!」



スタッフさん達が、機材を抱えて逃げ出す。




「杏樹っ……こっち!」


及川さんに手を引かれた。



上から落ちてきた窓ガラスは、
亀裂が入り、バリンと音を立てて四方八方に散らばる。