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白いマフラーを首に巻き付け、カイロを手に教室を出た。


ついた途端に白くなるため息。


今日は寒い。




ポツリポツリと外灯が並ぶ帰り道を、一人寂しく帰る。


マフラーで覆った口元と、カイロを握り締めた右手だけが温かい。




「真帆子」


──?


私の名前を呼ぶ声がした。


キョロキョロと辺りを見回すが、それらしき人影は見当たらない。


「……」


さっきのは幻聴だと思い、そのまま家に帰ろうと体を前向きに戻した。


「真帆子」


「……!?」


確かに聞こえた、誰かの声。


恐る恐る後ろを振り向くと、知らない男が私を見下ろしていた。


「やっと見つけた」