「雪湖……出かけるよ。」
父の静かな声・・・・


なぜかその時私は
振り返って家をずっと見ていた母を
見つめていた。


白いバラ
アイスバーグが大好きだった母


「雪湖の心もこのバラのように
真っ白でキレイなのよ。
いつか愛する人が現れた時
その人にだけ
違う色で染めてもらいなさい。」


母はそう言いながら
私と白いバラの手入れをした。


「ママはパパに染められたの?」


「そうよ。
パパが幸せな色にそめてくれたの。」


そう言って微笑む母は
いつも美しかった。