幻聴に悩まされながらも私は派遣社員として働いていた。「電波を受けるような感じがしたり霊に憑かれたと思う」と本に書いてあった。当時のわたしは「電波」と「霊」という言葉に脅えていた。そして…。なんとその職場に「私、霊媒師なの」という女性がおり、エクトプラズマが出せるとか言い、私の頭を下敷きで擦ったりして「出てる、出てる!」とか言うのである。「プラズマ?」「電波?」私はやっぱりそうなんだ…と余計に悪化してしまった。今思えばその人こそ病気だが…。それでも職場には整体師がふたり、ゲイの男の子が4人もいて面白い職場だった。整体師は私の理解不能な話をよく聞いてくれたし、ゲイの男の子のうち二人は仲良くしてくれた。ある日気の合う仲間で呑みに行った時の話。西村知美ばりのキャラの女の子がいて「チヅルさんって前は何してたんですか~?」と尋ね、過去にバックパックを背負って世界中を旅して歩いた私は「ヒッピー」と答えた。「ヒッピーって何ですか?」というボケた質問に咄嗟にゲイのひとりが答えた。「イルカの名前よっ!」こういう時間もわたしは現実の世界としておくれていた。当時は・・・。