「……」
「……」

 戻ってきたベリルは、いろりを間にはさみ長老と睨み合う。

 灰色の煉瓦造りの長老の家はとても大きく、暖炉の部屋といろりの部屋の2つある。

 ゆっくり語り合ったり、客が来た時はいろりの部屋に通すのだ。

「わしの呼び出しを無視しおって」
「自分の行いのせいだと思え」

 その言葉に、長い白髪と髭を蓄えた老人は床をバンバン叩いて抗議した。

「お前が自分から顔を出さないからじゃ! 寂しい老人を悲しませおって」

「年に1度は呼びつけるのに何故、自分から戻る必要がある」

 それに、悲しむ事も無いだろうが。後ろにいる5人の孫を見て、ベリルは目を据わらせた。

「ぐっ……」

 老人は声を詰まらせる。

「理論武装してきたな」
「こんなもの理論武装する必要もない」

 ベリルは腕を組んで、呆れたような声を出した。