僕はなんて、幸せな子供時代を過ごしていたんだろう。

子供の頃、何の悩みもなかった。

お兄ちゃんとケンカしたり、近所の友達と遊んだり、週末は遊園地や動物園に行った。

年に一度は、旅行もした。

金持ちの友達と比べて、お母さんにこんなことも言った。
「ねえ、どうしてうちの車は小さいの?どうして僕はお兄ちゃんの服なの?」

お母さんは、なんて答えたのか覚えてないけど、子供にこんなこと聞かれて悲しかっただろう。

ほどほどでいいんだって今の僕は思える。


僕は、お金よりもずっと大事なものをいっぱいもらっていたのだから。

ユキの笑顔の向こうの涙・・・は僕の想像を遥かに超えた涙だった。

ユキの抱えてる荷物はあまりにも重かった。


僕は、半分それを持ってあげたい、と心から思う。

僕になにができるのだろう。



僕は、ただそばにいることしかできない。