隣の部屋、103号室の住人林 洋子(28歳)は、くつろぎながら夜の10時から始まるテレビ特集を楽しみに待っていた。


『邪馬台国と脱官僚』、その特集で未来を予想したと言われる女王の、いやそれよりも『邪馬台国』がどこに存在したかという最大の謎に近付けるかも知れない。


ひとり暮らしである林 洋子は自分の関心事に集中しようとテレビのリモコンを取り、そのボリュームを上げようとした。


必要ないと、すぐに気付く。


テレビの『音』は嫌でも聞こえている。


そう、隣の部屋からも。