「洋子おねえちゃん、わたしお母さんから預かってるカギ持ってるよ、ほら!」


弥生は『しゃちほこ』のキーホルダーが付いた手の中のカギを洋子に見せると、ドアノブのカギ穴にそっと滑らせた。


カチャリ、と軽い音。


「ただいま……お父さん?」


弥生がドアをそっと開けながら声をかけた。


「お父さん?寝ているの?」


明かりの点いている部屋の中から、テレビの音が聞こえて来る。


どうやら本当に音量を絞ってくれていたようだ、と洋子が安心した時、


「きゃああああぁっ!!」


部屋に入って行った弥生が、悲鳴を上げた。