「何だか、語り合っちまったな」



「たまには、いいんじゃない?」


明はそうだな、と言うとそっと私の手を握った。
ドクンと、心臓が暴れ出す。
不意打ちは…ずるいよ…。





「雫」



顔の赤みを隠して俯いていたら、誰かが私の名を呼んだ。
顔をあげてみれば、私の兄が居たのだった。
兄の亮は、売れっ子小説家。
最近は全く連絡も取って居なかったと、会って初めて気付く。





「久しぶり」



「うん」



兄妹だと言っても、ブラコンでは無いし素っ気ないのは仕方ない。
何となく、兄に近寄りがたいって感じもするし。