それは夏の終わりの事だった。いつも通りにバイトを終えた俺は、バイト仲間とコンビニに立ち寄り、菓子パンと紙パックのコーヒーを購入した。俺は店の駐車場でそれらを食べながら、小一時間談笑してから帰路に着いた。


 バイト終わりにコンビニ寄った為、当然ながら時間は既に日付をまたいでいた。それでもいつもの事、特別焦る事も、急ぐ事も無く、自転車のペダルをこいでいた。



 しいて言うなら、その日はとても車や人通りが少なかった。深夜で少ないのは普段からだが、何故か特別少ない感じがした。


 ……故に、俺は油断していた。



 突然の馬鹿でかいクラクション。音に呆気をとられたのも事実、だが、それ以上に目の前に迫る巨大なトラックのフロントに圧倒されていた。



 次の瞬間、俺は避ける事はおろか、身動き一つとれずに、無抵抗のままトラックに自転車ごと跳ね飛ばされた。俺の記憶はトラックのまばゆいライトを最後に途切れた。



 そして、次に俺が目を覚ましたのはそれから一週間が過ぎた病院のベッドの上だった。