宝珠に無理矢理重ねられた唇が、小刻みに震えている。



大好きな人とのキスに……わたしの胸はひどく絶望していた。



“世界で一番千愛が嫌い”



冷たい眼差しで吐き捨てられた台詞は、ずっと頭の中をぐるぐると巡っていて……、



もう何を考えるのも嫌になっていた。



……きっと、想いを告げてくれた周助を放って駆け出した罰だ。



人の気持ちを二度も踏みにじったわたしに、人を好きでいる資格なんて無いのかもしれない……。



とめどなく零れ落ちる涙を袖で拭い、階段を一段一段あがっていく。



とにかく周助には伝えなければいけない。



本当のわたしの気持ちを。