どれくらいそうしていたか、
肌寒さに身体が震える。

地面に接している脚は
コンクリートと同じ冷たさに
なっていた。

乾いた涙の跡が肌にピリピリと
張りついている。


冷たい夜風がただ辺りを静かに
包んでいた。

頭の中で色々な思いが
交錯する。
出るはずのない答えを
導き出す為に。

母にこれ以上迷惑は
かけられない。
そう思うのに立ち上がる気力は
まったく湧いてこなかった。


「棗ちゃん」


不意に名前を呼ばれて
意識が覚醒する。

外階段の下に絢が立っていた。