ケータイ小説 野いちご

君の瞳に映る色

10.忍び寄る影

重厚な雰囲気の応接室に、
まったくそぐわない風貌の男が
テーブルに足を乗せソファーに
どっかりと腰を下ろしていた。

原色の赤や黄色が髪の毛に混じり
だらしなく伸びた長い前髪は
目に掛かっている。

細く釣りあがった目は宙を睨み、
胸の前で組まれた腕の指を
トントンと忙しなく
動かしていた。

廊下のほうから聞こえてきた
足音に、かろうじて残る地毛と
同じ色の黒い瞳を
ドアの方に動かした。


ドアが開くと凛子と櫂斗が
姿を現す。

凛子が屋敷の主である櫂斗を
紹介するが、男の耳には
聞こえていないかのように
男は凛子を上から下まで
じっくりと眺めていた。

顔をしかめながらも櫂斗は黙って
男の向かいのソファーに腰を
下ろした。


「お前に消してもらいたい
男がいる、できるか?」


櫂斗の言葉にようやく目の前へと
男は視線をずらす。

下品な笑いを浮かべて、
金次第だよと言った。

「好きなだけ払おう。
しかし失敗は許さない」

言いながら櫂斗は写真を放った。
男はそれを指で器用に受け取る。

写真を見ながら、まだ
ガキじゃねぇかと呟いた。





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