ケータイ小説 野いちご

君の瞳に映る色

7.出会いと始まり

ティアラをベッドの上に下ろして
棗は自分の屋敷から持ってきた
カバンを開けた。

カーディガンとGパン、
Tシャツを取り出す。

とても櫂斗の準備した服を
着る気にはなれなかった。

パンツスタイルは菖蒲が
嫌がるので自分の屋敷でも菖蒲が
いないときくらいしか着ない。


着替え終わると床に散らばった
制服を詰め、カバンと
ティアラを抱えて部屋を出た。

廊下に誰もいないのを
確認して移動する。
一刻も早くこの屋敷を
出たかった。

かといって自分の屋敷に戻れば
菖蒲に連れ戻される気がして
帰る気にはなれない。

祖父のところに行けば
祖父は心配するだろう。

行く当てはなかったが
出てから考えればいい。


階段を下り、出入り口を探す。
玄関には誰かいる可能性が高い。
慣れない屋敷を、足音を消して
棗は歩いた。

ふと足音が聞こえて棗は手近な
ドアを開けた。
足音が遠ざかるのを確認して
胸を撫で下ろす。
部屋は書斎のようだった。

薄暗い部屋の奥にカーテンの
隙間から光が差しているのが
見える。
本棚の間を通り過ぎカーテンを
捲るとちょうど書斎の窓は
庭に面していた。




< 155/ 352 >