ケータイ小説 野いちご

君の瞳に映る色

6.対峙する2人

瑠璃と別れ棗は迎えの車に
乗り込んだ。
窓の外を流れる景色を見ながら
棗は小さく溜め息を吐く。

好きになる、か。
棗は瑠璃の言葉を思い出した。
好き、という気持ちが棗の中では
曖昧だったがうまく
やっていけるように努力する
ということだろうかと考える。

今日は菖蒲が家に戻るはずだ。
菖蒲とも話をしなければ、
そう考えると少し憂鬱だった。

車が屋敷に着くとメイドが慌てて
飛び出してきた。

「お嬢様!柊さん!」

血相を変えて走ってくるメイドに
棗と柊は顔を見合わせた。


屋敷に入ると数名の女性が
段ボールに何かを詰め
運びだそうとしていた。
中心で指示していた櫂斗が
棗に気付き振り返る。

「やぁ、おかえり」

まるで自分の家のように
笑顔で櫂斗が言う。

「何を…してるんですか」

棗の問いはまったく無視して
櫂斗は、あぁそうか、と
1人納得したように頷いた。
棗は怪訝な表情で櫂斗を見る。

「制服は必要だろうと
探していたんだが、そうか。
君は学校だったね」

櫂斗が何を言っているのか
まるで理解できない。
その間も見知らぬ女性たちが
縦横無尽に屋敷を
うろついている。






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