肌寒さで早朝に目が覚める。
昨日の恰好のまま布団も掛けずに
ベッドの上にいる事に気付く。
身震いしてクローゼットにある
ガウンを取りに行った。

身体が重くてだるい。
頭痛もひどかった。

そのまま寝る事もできずに
学校へと車で向かった。
さすがに出かけから顔色の悪い
棗を柊は心配していた。
家で休まれてはと言ってくれたが
菖蒲に会いたくはなかった。

昨日の今日なので自分の
気分の悪さも関係なく櫂斗との
ことについて根掘り葉掘り
聞かれるだろう。

そう思うと気分が悪くても
学校に行った方がマシのように
思えた。

しかし自分で思っていた以上に
重症のようで下駄箱に
寄りかかったまま棗は
意識がぼんやりするのを感じ
動けなくなった。

沢山の生徒が目の前を
行き交うのに色は不思議と
あまり入ってこない。
その代わりにひどい寒気と
頭痛が続く。
保健室に行こうと思うのに
足が進まない。

「どうかした?」

男子生徒の声に顔を上げた。
目の前の人物を見て無意識に
棗は身体を引く。
立っていたのは生徒会室で自分を
拘束していたうちの1人、
樋野克だった。