「久し振りね!」

「…えっ?」

驚いて、言葉が出てこなかった。

目の前には、中学時代の先輩がいた。

「わたし、ここの高校だったのよ。知らなかった?」

「しっ知らなかった、です」

先輩は再会できたことに、素直に喜んでいた。

…あの日のことが、無かったように。

『あの日』。二年前の先輩の中学卒業式の日。

あたしの面倒を良くみてくれて、仲が良かった先輩。

―好きだった。本気で。

だから、別れ際。

…キス、をしてしまった。

先輩の許可も得ず。