目の前を歩く茅乃とコウを見ていると、なんだかムカムカしてくる。





 なんだ?

あれは………。


 茅乃の奴、俺が手を繋いだ時と全然態度が違うじゃねぇか。


 俺が繋いだ時はあんなに嫌がっていたのに、なんでコウが相手だとあんな笑顔を向けているんだ?





 いや。


 そもそも、茅乃は俺の前ではあんな笑顔は見せてこない。


「そんなにあの二人が気になる?」





 茅乃たちのことを見ていたら、突然俺は静香に聞かれた。


「別に」





 素っ気無く反すものの、静香は「嘘ばっかり…」と俺の心の中を見透かしたように言ってのける。


「嘘じゃねぇよ」


「そんな風にムキになるところが、嘘だって言っているようなものよ」





 ムキになっているつもりなんてなかった。


 だけど、言われてみればそうなのかもしれない。