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あの事故から今日でちょうど、一年が経った。


俺もだいぶ落ち着いてきたし、黒澤もそうだと思う。


骨折なんかもすっかり良くなって、今の俺に残っているのは


あの日黒澤が握っていてくれた手の温もりだけ。



身内のいない俺にとって、


目覚めた時に黒澤が傍にいてくれたことは、涙が出そうなほど嬉しいものだった。


俺は人間嫌いなはずなのに、あの時だけはなぜかそうだったのだ。



愛や友情。


ずっと昔にそんな感情をどこかに忘れてきてしまった俺は、


この気持ちをどうすればいいのだろうか。


机の上にある真っ赤なラジオのスイッチをカチリと押す。


ザザ…ザ……