『売人えりな』として誕生させてしまった私は心の中では複雑な思いがありながら毎日を過ごす日々が続いた。
信頼できる年下の女の子でありママとして先輩。6年程の付き合いで二人して色々な出来事も乗り越えて自然な形で信頼関係が生まれていただけ罪悪感が残りながら仕事とプライベートを分けて考える様にした。
なかなかすぐに気持ちを切り替える事は私には難しい事だった。
しかし売人として不安感を持たす事もできない。淡々とした口調で仕事を進めていった。
『えりな、客によってシャブの好みも量も違うから極力合わせていく様にしてあげて。』
『はい、どうしたらいいですか?』
『とりあえず初めは私が分けるから渡しに行ってくれる?』
『わかりました』
電話やメールが頻繁になる中、私は注文を受けひたすらシャブを仕分けしていた。
『駅近くの三角のパーキングに白い軽。1万円。幼なじみやから中身03弱で。』
『わかりました。行ってきます』
『気をつけて行ってきて。うちの事きかれても産休いうといて』
『あ、はい。わかりました。行ってきます』
そしてえりなに一万分のシャブを預け手にとり売人として初めての仕事に行った。
『ただいま』
『お帰り。お疲れ様。どないやった?』
『いや、別に特に何もなく。あれっゆかさんは?みたいな感じでした』
『一人で来てた?』
『2人でした。横の人は何も喋って来なかったけど目のクリッとした坊主頭みたいな人でした』
『あ、じゃあ茶髪の方が幼なじみで坊主頭みたいな方が同級生やから、この二人の時は1万で03位でペン2本つけたってな』
『わかりました。』
『だいたい2人でやけど別々に連絡してきたりするときとかあるし、先輩や年下の分もいうてくる時あるから。1本2本って感じでいうてくるから。1本が1万の事な。』
『わかりました。』
『ほんで他の人でも同じやけど、知り合いでも仕事は仕事で客やからなぁなぁになったらあかんで。足元見てくるからな。色々聞かれてもノーコメントで自分の事は話たらあかんで。客同士は共通ある関係多いから、何も客とは話さんでいいから。渡したらお金もらうだけですぐ帰る様に』
『わかりました』