―――明菜サイド―――


「早坂先輩、カッコいいなぁ……」


ポツリと呟きながら、窓の外を眺める。


校門に向かって、数人の友達と歩く早坂先輩を目で追う。 


髪を茶色く染めて、校内でも目立つ存在の早坂先輩。


彼氏にするならやっぱり、真面目な男の子より少し道から外れた男の子のほうがいい。


見た目ですべてを決めるのはよくないけど、整っていないよりは整っているほうがいい。


友達に自慢できるなら、もっといい。


一番苦手なタイプ。


それは、今あたしの目の前にいるこの男……。

 

「あの、日誌書いておいてもらえましたか?」


「あぁ〜ごめんごめん。書いてない」


「日誌くらい、書いてもらえませんか?」


「あたしね、今、忙しいの。小林、どうせ暇でしょ?」


「……僕も暇じゃないんですけど」


目の前のガリ勉男を無視して、あたしは再び窓の外に視線を移した。