毎夜、交代で紫衣の寝室に見回りに行く任務。

嬉しくて、そして切ない。


今日も紫衣はすやすやと寝息を立てて無邪気な顔で眠っている。


絶対に悟られてはいけない想いを抱えていく日が過ぎただろうか...。


泣き虫でだけど気が強く、凛とした姿勢を崩さない紫衣。


そして誰にでも優しく愛くるしい笑顔を向ける紫衣。


始めて出逢ったときは俺のこと女だと思っていたよな。


男だと知った時の紫衣の間抜けな顔は面白かった。


時代に馴染めなくて、それでも馴染むために必死で努力する姿。


花饅頭を嬉しそうに手に取る姿。


いつからだろう...。


紫衣を、殿の大切な人を殿の為ではなく自分の為に守りたいと思いだしたのは...。


叶わない想いを抱き出したのは...。